思考の自由研究

世界で一番かわいい言葉は「もぐもぐ」だと思う

夜道の主役

夜道を歩く時は、どうしても道の真ん中を通りたくなる。

渋谷や新宿はまだかっこつけきれないけれど、住宅街を歩く時には「今日の夜は自分が一番イケてる」と思うことができる。

自意識過剰とでも呼んでくれ。

住宅街でしかそう振る舞えないのはたぶん、自分の家の近くということで身の危険を感じにくいからだと思う。

夜の渋谷は人が多いし、うるさいし、人が多いし、人が多い。新宿はこれに加えて「コワイ」と思ってしまうから、余計にそう振る舞いにくい。

高校生の時に観た『新宿スワン』の衝撃が未だ尾を引いている。

金曜日の夜は電車も混むから、早く帰りたくなってしまう。そういう喧騒も嫌いじゃないけど、たまにでいい。

春が始まったばかりの生暖かい夜なんて、道路の真ん中を颯爽と歩くのにちょうどいい季節だと思う。かける音楽はきのこ帝国なんかがいい。

(ひとまず)危険のない道で堂々と振る舞っていると、得意でもないアルコールを飲みたくなるから不思議だ。

できればスミノフみたいな、瓶に入っているものがいい。

あるいは単に、瓶入りのオレンジジュースでも十分なのかもしれないけれど。

私の中には「夜道を歩く時は片手に瓶を」とかいうプログラムが生まれながらに備わっているらしい。

何度も経験したことがあるわけじゃないけれど、たとえば夜の公園でお酒を飲んだり、夜道を歩きながらお酒を飲んだり、「そういう夜風に当たりながら」というシチュエーションでお酒を飲むときが一番心地いい。できれば仲のいい友達と一緒に。

夜の昼寝から飛び起きて遅刻すれすれの時間に家を出たとはいえ、落ち着きを取り戻した今となっては夜の散歩に変わりない。

駅に着くまでのわずかな距離でも、夜道の主役として歩かせてほしい。

アルコールは、できれば帰り道に。