第一印象
人の第一印象は15秒で決まるらしい。その15秒で赤の他人から「こんな人だ」と審判を下されるんだと思うと、背筋のあたりがヒヤヒヤする。
とくに私の場合、かなり仲良くなった人にあとから聞くと、決まって「最初、もっと怖い人だと思った」とか、「最初に喋った時の印象と全然違う」と言われる。
怖そう、クール、冷静、と言われることが多い。自分では比較的「エモーショナルに振り切っている、ロジカルになりたい側の人である」と思っているんだけど、浅い関係の人にはあまりそれが伝わっていないらしい。エモーショナルだよ。
最初から最後まで印象が変わらないということも滅多にないけれど、もしどこかで必ずその印象が変わらなくてはいけないのなら、どう考えたってよい方向に変化した方がいい。
そのために敢えて最初のハードルを下げているという人もいるくらいだから、この「第一印象」というのはかなり大きなインパクトを残すらしい。
私は我ながら欲張りで、最初からいい人だと思われたいし、最後もやっぱりいい人でありたいと思う。
「いい」というのはえらい抽象的な表現だけれど、人に優しくとか、ルールを守るとかその程度の「いい」で十分だ。「いい人」でありたいと思う。
こう言いながらも、全く一番最初の第一印象を良い方向に形成するのはとにかく苦手だ。記憶の中でうまくできた試しがない。けれどそれと同じくらい、その第一印象を覆して、自分が求めるだけの「いい人」になれた実績もあるんじゃないかと思う。
実績と信頼のちゃぶ台返し。
人の第一印象は15秒で決まるらしい。その15秒で赤の他人から「こんな人だ」と審判を下されるんだと思うと、背筋のあたりがヒヤヒヤする。
けれどある時から、その第一印象は簡単に挽回できることもわかった。
第一印象の良し悪しと、個人の能力値は大きく食い違うことがないにせよ、完全な相関を持っているわけでもないように思う。
能力を発揮したい、信頼されたいという気持ちは、その人が持つスキルをぐんとあげる着火剤になる。私は自分自身の承認欲求の高さをこれでもかというほど知っているから、こちら側の気持ちがよくわかる。
同時に、学んだことを全て生かせる環境に居られるのは大変ありがたいことだが、経験がたまるにつれ自分のスキルの汎用性がわからなくなる。
経験値によって相対的に底上げされた、環境に依存した能力なのか、様々な経験から汎用性の高い学びを得て絶対的に高められたものなのか。
私は今、どちらに比重が寄っているんだろう。同じ場所に長く籍を置いていると、その差がだんだんわからなくなる。
周囲から求められることはまだまだではあるものの少しずつできるようになってきていて、第一印象の挽回はできたかもしれない。けれどこの能力は、他の場所で発揮されることはあるのかな?
第一印象で失敗した分を、やる気スイッチの着火剤で底上げして、絶対的で汎用性の高い能力が手に入れば最高だ。
最高だけど、その難易度の高さも重々承知している。さて、どこから手をつけよう。
「あいつ、頑張ってたのはあの瞬間だけだったな」と言われないように、自戒の念を込めて。