あくへき
立て続けに相槌が冷たい人と話して、心が折れそうになることがある。
相手は真摯に話を聞いてくれているだけなのに、その真剣さが言葉の鋭さに込められている気がして尻込んでしまう。
真剣な相手の気持ちを受け止めきれない自分にも辛くなってしまうので、ハリネズミのジレンマみたいな気分だ。
目の前の人は真剣に話を聞いて、それに返事をしてくれている。
それだけなのに、彼/彼女の言葉尻の強さで勝手に自分が傷つく。相手に損はなくて自分が損しているだけなのに、気になって気になって仕方ない。
こういう人の近くにいると自分のためにならないのだから、はやくこの場から離れたいと思ったりもする。けれどその場から逃れられない状況でもあるわけで。
最近多くて、本当イヤになるね。
無意識に人を不愉快にする言葉や仕草というのは、軌道修正するのが難しい。
それはもちろん無意識に行なっているからこそなのだが、何か引っかかる部分がある人に出会うたび、「私もこういうことしてないかな」とか、「私の行動って人に悪影響を与えてないかな」とか、考えても思いつくはずのない心当たりを探してしまう。
相手の悪癖を自分に投影してしまって、勝手に自己不信に陥ったり。相手の魔力が強すぎるのか、自分が気にしすぎな性格なのか。
自分の努力で変えられる部分は少しずつでも変えればいいが、とはいえ、努力のしようがない部分で人を責めるのは良心がいたむ。
私の身近な人も、「他人が口を開けてものを噛むのが苦痛で仕方ないけれど、無意識の行動は咎めきれない」と言っていたのを思い出した。
相手が無意識にしていることが気になりだすと、アリジゴクのように穴に吸い込まれていくような感覚がする。あるいは、クリーニングのタグが付いていることを指摘するかしまいかと迷う、あの感じ。
相手のためを思えば言った方がいいのかもしれないが、こちらも気が引ける、あの感じ。
とは言え自分も言葉尻が強いことを咎められることは多い。自分が知っている自分の悪い癖は、自覚があるうちに治して置かないとなー。人の精神を無駄にすり減らすような、無意味な無意識は減らしたい。