追体験
私はその番組をリアルタイムで見た訳ではないから、ひとりひとりの18歳にそれぞれどんなドラマがあったのかとか、RADWIMPSがどういう思いでこの番組に参加しているのかとか、そういうストーリーの部分は全く知らない。
作業用BGMとして延々流していたのだけれど、やっぱり歌詞が入ってきてしまって、結局キチンと見てしまった。
リピート再生で、4周くらいした。
ただ曲もさることながら、最後に私が一番いいと思ったのは、番組のタイトルが『18祭』だったというところだ。ジュウハチフェス、と読むらしい。
これが高校生ナントカ、だったり、青春カンヤラ、だったりしたら、私はこの動画にあまり共感できなかったような気がする。制作側から「これが若者たちのリアルです!」と押し売りされてしまうと、急に興ざめしてしまって不思議なことだ。
自分の18歳の記憶はオンリーワンでナンバーワンだと思っているから、人の18歳時代を見てもあまり心が動かないのかもしれない。
なんと、高飛車な。
大人の階段を上る思春期の青二才を上から眺めて、「セーシュンだね!」とか知ったような口を聞く人は少なからずいる。
悪いことではない。
実際そのあたりの時期というのは、大人でも子どもでもないことを自覚しながら、大人のような口をきき、子どものように甘えることができる。2度と戻ってこない特権階級だ。
自分たちだって、「今の私青春してる!」と自覚するさ。だから屋上に上ったり、学校帰りに海を眺めに遠出したりするのさ。
でもあくまで自発的に感じる青春が鮮明なのであって、外野から認定された青春的アクションはイマイチ腑に落ちない。
照れ隠しで、納得してないフリをしているだけなのかもしれないけれど。
番組のタイトルで、18歳の彼らに「青春真っ只中の高校生!」とか、「アツイ!若い!」とかいうレッテルを貼っていないのがいい。
年齢を全面的に強調することで、結果として彼らをそう見せようとする意図は感じるにせよ、よっぽど間接的で、品のある伝え方だと思う。
番組を見る人の18歳が十人十色であるように、そこに立つ彼らの現在も千人千色なわけだから、耳障りのよい言葉でまるっとラッピングしないところは配慮があると思う。
いいことばっかりとは限らないし。
そもそも、18歳だからと言って高校生とも限らないし。
とはいえ、動画そのものは結局、「若くてフレッシュな男女が、思いの丈を大人気バンドと歌い上げる!」みたいな内容になっていた。
まあ、そりゃそうだろう。
けれどタイトルで強い先入観がなかった分、画面に映る彼らの涙目にやたら感情移入してしまった。
色々あったんだろうなあ、ここまで。私は18歳の時、何考えていたんだっけなあ(あとになって、今と何も変わらないことを思い出した)。
おかげで課題は、何も進まなかったんだけれどね。