思考の自由研究

世界で一番かわいい言葉は「もぐもぐ」だと思う

現実逃避

何か悲しいことがあった訳でも楽しいことがあった訳でもなくて、ただ課題に追われているだけなのに、急に考え事をする時がある。きっとテスト前に大掃除をするような感覚で、課題に煮詰まった頭の中を大清掃するために、私はこうして文章をダラダラ書いたりするんだと思う。そしてこの後お風呂掃除も洗濯もするんだと思う。
 
旅行中の楽しそうな自分をあとから見ると、今の私と同じ血肉でできているはずなのに、写真の中にいる女に嫉妬する時がある。
この感情こそが「あの時の私とは違うのよ!」という言葉の証明になるので、ああ、人間は常に違う誰かに変わり続けているんだと、自分の感情を以ってして毎度毎度確かめることができる。
そういえば日差しの強い日だった、このひとが遅刻して、その人が大きな声で注文したあの料理がどこまでも美味しかった。記憶は、つながる感覚が多ければ多いほど、より鮮明に思い出すことができる。
 
遠くから撮られているから表情は見えないはずなのに、写真の中に小さく写る女は楽しそうにして、レンズの向こうを眺めている。
しかもめちゃめちゃ写真写りが悪くて余計に癪に触る。
そしてその写真を見るたびに、私は昔の自分という他人にひどく嫉妬して、さて、課題をそろそろやらなくちゃ、という気持ちにふと切り替わる。